内容大きく3部構成となっています。第1部では、病原微生物がどのような生物的特徴や病原性・感染機構を持っているか、第2部では、病原微生物の感染のしくみと、ヒトがそれをいかに防いでいるか、という点を概括的に学びます。そして第3部では、各種の細菌・真菌・原虫・ウイルスについて、ヒトに引きおこす感染症とともに詳しく学んでいきます。本書は、微生物の持つ病原性(感染力)というものを、生物としての微生物の営みとしてとらえ、それと同次元でヒトの感染防御機構を説明します。両者の巧みなかけ引きや相互の進化の様子がよく理解されます。MERSウイルス、SFTSウイルス、デングウイルス、ジカウイルスなどについても、最新の知見を盛り込んでいます。各論では医療の専門職として知っていなければならない病原微生物を網羅し、事典としても使えるような詳細な情報を盛り込んでいます。 目次 第1部 微生物学の基礎 第1章 微生物と微生物学 A 微生物の性質 B 微生物と人間 C 微生物学の対象と目的 D 微生物学の歩み 第2章 細菌の性質 A 細菌の形態と特徴 B 培養環境と栄養 C 細菌の遺伝 D 細菌の分類 E 常在細菌叢 第3章 真菌の性質 A 真菌の形態と特徴 B 真菌の増殖 C 真菌の分類と命名法 D 栄養と培養 第4章 原虫の性質 A 原虫の特徴と基本構造 B 病原原虫の種類 第5章 ウイルスの性質 A ウイルスの特徴 B ウイルスの構造と各部分の機能 C ウイルスの増殖 D ウイルスの分類 第2部 感染とその防御 第6章 感染と感染症 A 微生物感染の機構 B 感染の成立から発症・治癒まで C 細菌感染の機構 D 真菌感染の機構 E 原虫感染の機構 F ウイルス感染の機構 第7章 感染に対する生体防御機構 A 自然免疫のしくみ B 獲得免疫のしくみ C 粘膜免疫のしくみ D 感染の徴候と症状 第8章 感染源・感染経路からみた感染症 A 経口感染 B 経気道感染 C 接触感染 D 経皮感染 E 母児感染 第9章 滅菌と消毒 A バイオハザードとバイオセーフティ B 滅菌・消毒の意義と定義 C 滅菌法 D 濾過除菌 F 消毒と消毒薬 第10章 感染症の検査と診断 A 病原体を検出する方法 B 生体の反応から診断する方法 第11章 感染症の治療 A 化学療法の基礎 B 各種の化学療法薬 C その他の治療法 第12章 感染症の現状と対策 A 感染症の変遷 B 感染症の現状と問題点 C 感染症への対策 第3部 おもな病原微生物 第13章 病原細菌と細菌感染症 A グラム陽性球菌 B グラム陰性球菌 C グラム陰性好気性桿菌 D グラム陰性通性桿菌 E カンピロバクター属,ヘリコバクター属 F グラム陽性桿菌 G 抗酸菌と放線菌 H 嫌気性菌 I スピロヘータ J マイコプラズマ K リケッチア目 L クラミジア科 第14章 病原真菌と真菌感染症 A 深在性真菌症をおこす真菌 B 深部皮膚真菌症をおこす真菌 C 表在性真菌症をおこす真菌 第15章 病原原虫と原虫感染症 A 根足虫類 B 鞭毛虫類 C 胞子虫類 D 繊毛虫類 第16章 病原ウイルスとウイルス感染症 A DNAウイルス B RNAウイルス C ウイルスの臨床的分類